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赤道の男 19,20話

「復活」ほど筋の通った復讐劇ではないので、作品的には到底及ばないものの、これはこれで深遠なテーマが根底にあった。
贖罪と許し。韓国ドラマは常に許しが隠しテーマにあるけれど、「赤道の男」はまさにそれが全て。

ソヌの殺人未遂の件でついに同僚検事の聴取を受けるジャンイル。
当然ジャンイルは否認。次に参考人としてソヌ自身が呼ばれる。ジャンイルの前で「あなたを後ろから殴ったのはジャンイルか」と聞かれ、「いいえ」と否定。訴状と矛盾する答えと言う為、スミも証人に呼ばれる。
なぜ暴行現場の絵を描いたかと尋ねられたスミは「二人がとても仲が良かったので、裏切りの瞬間を描きたかった。そのため二人をモデルにした」と言うが、ソヌはモデルになった覚えはないという。
それなのにジャンイルに襲撃されたことは認めないソヌに追及する検事も矛盾を指摘するが、ソヌはただジャンイルに聞かせる為に、「ジャンイルの父がしたこと」と証言。

父親のせいにすることで「感謝したらどうだ。父を売った気分は?」とジャンイルを皮肉るソヌ。スミはソヌがおかしくなった、悪魔だと攻めるが「お前達ほどじゃない」と返すソヌ。
ソヌにじわじわと追い詰められて被害者意識のジャンイルとスミ。
まるでソヌの方が悪人のように。

自殺を図り命はとりとめたものの意識不明のままのジャンイル父のところにも行き、自分がジャンイルに海に落とされ重体だったときに耳元でささやいたジャンイル父の言葉を覚えていると告げる。
自分の息子を溺愛するあまり息子の出世だけが生きがいで犯罪の手を染めてしまったジャンイル父。

その父が息を引き取ったときに、ソヌのところに押しかけ怒りをぶつけて荒れ狂うジャンイル。
けれど、ソヌは「俺の親父はお前の父親に殺されたんだ。」と切り返す。それはそう。今更ジャンイル父が亡くなっても同情する義務はない。
いつも自分勝手なジャンイル。無念の死を遂げたソヌ父を思えば、自分の父や自らが犯した罪を思えば、決してソヌを責められないはずなのに。

何もかも明るみに出てジャンイルの検事生命は絶たれ、全てはノシク会長がジャンイル父を殺しかけたことで始まった諸悪の根源だと気づくジャンイルはノシクのところに現れ、銃口を向ける。
第一回、冒頭の場面はここだった。止めに入るソヌ。もみ合ううちに弾が当たったノシクを背負って歩くソヌ。自分の存在を否定する実の父の重みとぬくもりを感じながら。

自分が破滅に追い込んだノシクもとうとう逮捕される。
全てが終わりを告げる。ところが心が晴れないジャンイル。父の敵をうったところで父は帰ってこない。
むなしい思いだけが残る。

極度の緊張と恐怖の中で長い間生きてきたジャンイルは会長への発砲の音で糸が切れたように、狂ってしまう。
高校時代にもどったジャンイルは自分をさげすんだジャンイルの哀れな姿を確認しに来たスミにも妙に優しい。
ジャンイルを病院に入れ、世話をするソヌ。
高校時代の親友同士にもどった二人だけの穏やかな時が流れる。ジャンイルの全てを受け入れるソヌにもようやく平穏が訪れる。

やがて記憶が戻り、全てを思い出したと言うジャンイルはソヌ父の骨を散骨した海に行きたいとせがみ、二人で故郷に赴く。かつてソヌを殴り殺そうとした崖で、かつての自分達とそれぞれ会話する二人。
ジャンイルが過去のソヌに謝れば、現在のソヌも過去のジャンイルに「もう許してるよ」と言う。
もっと早くに、ソヌが目覚めたあの時に、親子でソヌに膝まづいて謝っていれば、ここまで遠大な復讐劇にはならなかったかもしれない。ソヌは何も始めなかったかもしれない。

ジャンイルは自分が引きずり落とそうした過去のソヌの姿を追うように海に落ちていく。
救おうと飛びこむソヌだったが、間に合わなかったのか。ジャンイルはスミとのデートの約束を思い浮かべながら微笑みを浮かべてゆっくりと海の底に沈んでいったのだった。

親友を失ったソヌには辛いことがまだ待っていた。愛するジウォンにどうしても告げなければならないこと。それは、ジウォンの親の敵であり、一緒に復讐してくれるためにソヌに協力していたジウォンの憎むべき相手、ノシクがソヌの本当の父親であるという厳然たる事実。

隠し通せば隠せたかもしれない真実をしかしソヌは重い口を無理矢理に開いて、ジウォンに告白。思いもよらないソヌの告白にジウォンは驚愕。すぐに受け止めることはできない。
ジウォンの複雑な胸中を理解できるソヌは彼女の前から去ろうと思う。

赤道の国でテント暮らしをするソヌ。彼の前にソヌを追ってやってきたジウォンが立つ。
言葉は多くなくてもジウォンに許しをもらったことを悟ったソヌは「今度こそ二度と離さない」と誓うのだった。

父の犯した罪を知り、自らもソヌを葬り去ろうとしたジャンイルはその時から心安らぐ日は一日も一瞬もなかった。常に苦しく暗い絶望の淵に立っていた。それは人気検事としてもてはやされていたときも、いつ悪事がばれるかと不安で栄光の余韻に浸る余裕もなかったはず。
ジャンイルがはっきりと復讐を決意するまでも苦しんでいたジャンイル。その長い間のジャンイルの後悔と苦悩こそが、ジャンイルに課せられた罰であったかのように。

その苦しみの重さがソヌに痛感できたとき、ソヌは自分を邪魔もの扱いし、亡きものにしようとしたジャンイルのことも許せる気持になったのかもしれない。
壮大な計画を立てて綿密に敵を追い詰めていったソヌがためらう気持をふりはらいながら、父の無念を胸に刻みなおしては前に進んできたことをついに後悔する瞬間、ジャンイルとの絆をとりもどすことができた。

親友の二人が互いの胸に残る楽しかった青春の思い出だけを見つめて生きていけるはずだったが、ジャンイルはソヌの前から永遠に消えることで、ようやく傷だらけの弱い魂が救われたのかもしれない。
ソヌもまたこうしてジャンイルがより忘れられない大事な人間として永遠にジャンイルを自分の心に住まわせることができたのかもしれない。

人が人を許す為にはいかに多くの時間を費やし、多くのものを犠牲にしなくてはいけないのか。もしくは、断罪されるべき行いも心ひとつで許しを得ることができるのか。
恨みだけで生きている人間は幸せにはなれない。復讐の連鎖は止まらないから。
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Posted by まりあんぬあしゅー on 17.2012   2 comments   0 trackback
Category :赤道の男

はじめまして。

赤道の男、今KNTV で放送され、もうすぐDVD もレンタル開始ですね。
私は13話からリアルタイム視聴をしてましたので、言葉はわかりませんが、ドラマの雰囲気は伝わります。
レンタルされたら、早速改めて視聴する予定です。

おっしゃる通り、復讐劇としては、『復活』には及びませんでした。
最後まで筋が通っていたのは『復活』で、『赤道の男』は後半迷走してしまった感じです。
ですが、オムテウンさんを始め、キャストの方々の演技がカバーしてくれた部分が大きかったと思います。

最終話の、ソヌとジャンイルが二人並んでテーブルに座り、昔を懐かしみながら二人でお勉強しているシーン。横でそっとジャンイルに寄り添っていとおしそうにジャンイルの顔をみるソヌが印象的でした。
個人的に最終話のラストにしたいシーンです。

ゆるすこと、はなかなか難しい事ではありますが、沢山のじかんを経て、自分を、他人を心からゆるす事が出来た時、そこに温かな愛がある、と感じます。
それがあのシーンであったと思います。

レビューありがとうございました。
2012.11.17 08:20 | URL | hemin #Xlf.8pIU [edit]
はじめまして、hemin様(*^_^*)
コメントありがとうございます♪

hemin様も復活をご覧になっていたんですね。つい比較してしまいますよね。あのときのオムテウンしの熱演は今も心に残っています。年月を重ね、またも復讐劇の主人公になったテウンしですが、復活とはまた一味違う円熟した演技を披露してくれました。
女性といえどもスミへの追及の手も緩めることなく責め立てる姿は鬼気迫るものがありました。
ご指摘のように、オムテウンしの素晴らしい演技なくしてはこのドラマは成り立たなかったと思います。
まさに彼ありきの作品。

ただ、復活の脚本家ではなく、「太陽の女」を書いた作家なので作品的には差が出たのだと思います。
私は「太陽の女」は後味の悪いドラマとしてかなり評価の低いランクに位置づけています。赤道の男の方が違和感は少ないですが、妹を駅に捨て去った姉、親友を亡きものにしようとしたエリート、という悪人がまるで被害者のように描かれている点が共通していると思います。

無表情に恐怖に耐え続けていたジャンイルが狂うことで心の均衡を保ち、ソヌが優しく見守る姿はちょっとした感動場面でしたね。
おっしゃるとおり、あそこで終わっても良かったのではないかと私も思います。
恋愛エピはアクセントにはなりましたが、ジウォンの存在は終始薄いものでしたね。
ソヌとジウォンが結ばれる具体的な場面でなくても別に満足できたと思います。

結局許しのあとに湧き上がるもの、意味するものは温かな愛なのですね。お勉強になりました<m(__)m>
ありがとうございます。

日常の雑事に追われ流れるように過ぎていく日々の中で、このようにふと色々考えさせられる作品にまた巡り合いたいものです。
2012.11.18 01:59 | URL | まりあんぬあしゅー #- [edit]

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