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女の香り 後記

またひとつの名作に出会えたことに感謝

大前提が余命わずかなヒロインという設定の病気ものでありながら、決してお涙ちょうだいのドラマ作りではなかった。
終焉をどう迎えるかということではなくて、いつどうなるか誰にもわからない人生を、あくまでもどう生きるかということに焦点が当たっていたからだと思う。

そして登場人物の一人ひとりに愛が注がれていた優しい脚本。
最終的にどのキャラにも救いがあった。
恋のライバルとなるセギョンは、はじめ高慢で傲慢、はなもちならないキャラであったにも関わらず、ジウクに恋をすることで、弱々しく女らしくなり、最後にはいわばジウクとヨンジェの命かけの恋に目が覚め、到底かなわないと2人を応援する側にまわり、セギョン父の地位を利用した妨害を止めることになる。

ヨンジェの天敵だった課長も、心底からの悪人ではなかったし、そのことはヨンジェ自身がよーく理解していた。
病気の辛さと課長の執拗な侮蔑発言が重ならなければ、そのまま我慢して勤めていたかもしれないのだから。

ヨンジェの近い未来を予感させるヒジュの役目は重要だった。きっとヨンジェもあんなふうにある日突然旅立つのだろうと、ヨンジェ自身もウンソクも、見てる私も身に沁みて、ますます一瞬一瞬が大切に思えた。
ヒジュにはとりわけ作家の愛が感じられ、天に召されて尚、人々の心に残るネット漫画という演出が効いていた。

いつも娘にかばってもらいまるで子供のようだった母も、ヨンジェの病気を知るや、娘を全力で守るために強く気丈な母に生まれ変わる。
子によって目覚ましい成長を遂げたのだ。

「未亡人とオールドミスの娘」だの「結婚してもこの家に住むとは、貧乏か」だの、口が悪い大家さんも。
先生が碁の相手をすることで、笑顔を見せる。孤独が老人を偏屈にしていたのだ。大らかな先生によって心を開いた大家さん。

ウンソクの同僚でさえ、俗物ながら人間味あふれるドクターとして描かれていた。

ウンソクは。。。。
辛い二番手。一番可哀想な人かも。
でもヨンジェの幸福を祈りつつ、きっぱりあきらめて、ジウクにまかせるあたり、男前。ぐずぐずとひきずらなくて良かった。幼なじみで主治医として、ヨンジェには随分気楽な相手で助けられた思う。
当初、氷のように冷たい唯物的医師が、ヨンジェとヒジュによって、どんどん明るく優しくなってタンゴまで披露するとは。

これらの人物の描き方があたたかくて、物語の質を上げていた。

名シーンは多すぎて書ききれないけど、最終話で好きだったのは。
セギョンが病室を訪れた時、ベッドに座ってジウクと手を握り見つめあっていて、ヨンジェの左手はさりげなくジウクのふとももに置かれてて、セギョンが入ってきても、ずーっとそのまま離れず「何の用?」みたいにセギョンを見上げた2人。
セギョンが「ちょっと外して」ってジウクを促しても、まだ離れがたい様子で。

あのシルエット、すごく素敵で微笑ましくて、本当にセギョンに邪魔されたくなかった。

この物語が暗くならなかったのは、キムソナ姉さんがヒロインだったことが全てといっても過言ではないくらい。
もちろん脚本ありきで、とても上品で知的で暖かな台詞ばかりだったけど、演じ手によってはじめて活きる難しい場面もあったと思う。

今までの病気ものと一線を画しているのは、ヒロインのキャラクターが病気を得てそれまでよりも強くなったこと。

印象的な台詞は。
病室に一応今までの失礼な言動の数々をことわりにきたセギョンに向かって。
「あきらめて。わたしがいるかぎり無理よ」とちょっと意地悪に言うシーン。

進行して弱った体でなお、相手に負担をかけないユーモア。
既存のドラマならここで「私がいなくなったら彼をお願い」とか言わせるところ。でもヨンジェが本音を言ったことで、偽善的じゃなく、うそくさくなく、リアリティがあった。

リアリティといえば、ドラマの最後まで素敵な結婚式が見えなかったこと。
結婚はどうしたのかな、指輪は掘り起こしに行ったのかな、これからいくのかな?と余韻を残して終わったことも。
これでもかって結婚後の生活や赤ちゃんまで見せてくれる大ハッピーエンドのドラマもあるけれど、このエンドは、かえって継続していく愛を感じさせられる。

リアルを追っかけで見ていたとき、最終話の素晴らしさに感動し、これ以上ない最高のエンディングだと思ったものでした。
今回見終わると別の思いも浮かんできます。

ヨンジェはどうしてそれまで頑なに拒否していたジウクとの同居を承諾したのか。
もう残りが数えるばかりになったと悟ったのかしら。最後の最後は冷たい病院のベッドじゃなく、ジウクの胸で永遠の眠りにつきたいから、一緒に暮らすことにしたのかな。

そして、ヨンジェが旅だったあとのジウクの人生に想いをはせずにいられないのです。

その後の方がきっとずっと長いのに、と思うと遺されるジウクが可哀想で。
いくら後悔のないように愛し抜き、愛に満ちた心でヨンジェが望むようにしっかりと生きていくとしても。

これがいわゆる廃人状態なんでしょうね

この余計なお世話の心配は、稀な奇跡を信じてヨンジェに無償の愛を捧げつくしているジウクに失礼なことですね。








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Posted by まりあんぬあしゅー on 14.2012   0 comments   0 trackback
Category :ドラマ感想・女の香り

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